トリチウム夜光時計の規制免除

 
 
資料2.

 

平成10年7月

トリチウムを用いた夜光時計の規制免除について  (報告)
 
放射線審議会アイソトープ部会
 
 

   審議結果
   平成10年3月26日付けで科学技術庁長官から諮問のあったトリチウムを用いた夜光時計の規制免除については、審議の結果、諮問の内容は妥当であるとの結論を得た。
 
   諮問の概要
   一定数量以上の放射線同位元素の使用等については、「放射線同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(放射線障害防止法)に基づき規制が行われており、トリチウムの場合、3.7メガベクレル(MBq)を超える数量を取り扱う場合は所要の許可等が必要となる。
   今回の諮問は、この一般的なトリチウムの規制免除数量とは別に、国際標準化機構が定めた規格(ISO3157)を満たす夜光時計の完成品に使用されているトリチウムに関しては、放射線障害防止法の規制を免除しようとするものである。
 
 審議内容
(1)    夜光時計の規制免除について
   夜光時計は、広く一般に使用されており(いわゆるコンシューマグッズ)、欧米諸国においても一般的なトリチウムの使用とは別のカテゴリーを設けて規制免除数量を設定している。
   また、国際標準機構においては、その規格(ISO3157)において時計一個あたりの放射能量(次頁の表を参照のこと。)、放射性物質の保護機構等利用者保護のための規定を定めており、欧米諸国のトリチウム夜光時計はこの規格を念頭に置いて製造されている状況にある。
   以上のことから、我が国においても、一般的なトリチウムの規制免除数量とは別に夜光時計のみを対象とした規制免除数量を設定すること、また、その数量を国際標準化機構の規格に基づいて定めることは妥当と判断する。
(2)    トリチウム夜光時計の利用に伴う被ばく線量の評価について 国際標準化機構の規格(ISO3157)を満たす夜光時計について、その利用に伴う被ばく線量を、個人の使用、流通、廃棄の3つの場合についてそれぞれ通常時と事故時にわけて評価した。(詳細は別添を参照のこと。)
   その結果、いずれの場合においても想定される被ばく線量は十分少ないことを確認した。
   従って、今回の諮問内容どおりの規制免除を行っても放射線障害防止の観点からは問題がないと判断する。
 
   審議経緯
   放射線審議会アイソトープ部会は、平成10年5月21日に第37回会合を開催し、科学技術庁から、諮問の内容、海外の状況、トリチウム夜光時計の利用に伴う被ばく線量の評価について説明を受け、審議の結果本報告書案をとりまとめた。

(参考1)
国際規格(ISO3157)

  時計1個あたりの最大トリチウム量
腕時計 277MBq
置掛時計 370MBq
特殊時計 925MBq

  (参考2)
 放射線審議会アイソトープ部会委員及び専門委員(平成10年6月現在)
(委員)
池田 正道 (社)日本アイソトープ協会学術部付嘱託
佐々木 康人 放射線医学総合研究所長
山崎  裕 建築研究所長
日下部きよ子 東京女子医科大学医学部教授
草間 朋子 大分県立看護科学大学学長
古賀 佑彦 藤田保健衛生大学医学部教授
沼宮内 弼雄 (財)放射線計測協会顧問
平敷 淳子 埼玉医科大学放射線医学教室教授
(専門委員)
栗原 紀夫 京都大学名誉教授
辻本 忠 若狭湾エネルギー研究センター研究部部長
西澤 かな妓 放射線医学総合研究所人間環境研究部第5研究室長
丸山 隆司 (財)放射線影響協会企画部長


 

別添
1   被ばく評価シナリオ
トリチウム夜光時計の利用に伴う個人の年間被ばく線量を個人の使用 流通及び破棄の3つの場合に分けて評価する。その被ばくシナリオ及び経路は以下のとおりとする。

A.使用
   使用における被ばく評価では、時計着用者が時計との接触により受ける被ばく線量及び家庭内で保管しているときのトリチウムの漏洩による被ばく線量を評価する。事故としては、時計が壊れて夜光塗料が剥き出しになってしまった場合及び火災を想定する。

  A1.通常時

A1.1

   時計着用時のトリチウムの取込みによる被ばく

A1.2

   時計着用者の制動放射線による外部被ばく(皮膚及び眼の水晶体)

A1.3

   時計がある部屋における汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
A2. 事故時
A2.1    時計が壊れた場合の汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
A2.2    時計が壊れた場合の塗料の経口摂取による内部被ばく
A2.3    火災発生によるガス(ダスト)吸入による内部被ばく

 

B.流通
   流通における被ばく評価では、卸売及び小売段階並びに輸送を対象とする。卸売及び小売段階で被ばくが考えられる状況は、倉庫等における保管と店内での展示である。両者がどのような割合で存在するかのデータはない。しかし、部屋の広さと個数の集中を考えると、線量は倉庫等における保管状態の方が高いであろう。そこで、卸売商及び小売業者については、通常時として保管状態でのトリチウム漏洩による被ばく線量を評価する。事故として、時計が壊れて夜光塗料が剥き出しになってしまった場合及び火災を想定する。輸送時にも、トリチウムの漏洩等による被ばくの可能性はある。しかし、距離や時間を考えると卸商及び小売業者の線量よりかなり低いことは明らかである。そこで、輸送については、通常時の被ばく経路は設定せず、事故時の被ばく経路のみ評価する。
B1.通常時
B1.1    保管時の汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
B1.2    時計との接触による被ばく
B1.3    制動放射線による外部被ばく(皮膚及び眼の水晶体)
   (B1.2及びB1.3については、時計着用者より線量が低いことは明らかなので評価しない。)
B2.事故
B2.1    時計が壊れた場合の汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
B2.2    時計が壊れた場合の塗料の経口摂取による内部被ばく
B2.3    火災発生による汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
B2.4    輸送中の事故による汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
   (ただし、屋外であることからB2.1よりも線量が低いことは明らかなので評価しない。)
B2.5    輸送中の事故による塗料の経口摂取による内部被ばく
C.廃棄
   トリチウム夜光時計は、通常のゴミと共に破棄され、埋設処分場と焼却処分場に分配されて処分されると仮定する。通常時の一般公衆の被ばくとして、埋設処分については、処分場周辺の公衆が汚染した地下水の摂取及び汚染ダストの吸入により被ばくすると仮定し、焼却処分については、煙突から排出された気体(ダスト)を吸入するとする。また、埋設処分場において、作業者が汚染したダストの吸入及び汚染した土の経口摂取により被ばくするとする。事故時として、焼却処分場に壊れた時計が持ち込まれてしまい、焼却処分場の作業者か漏洩したトリチウムを吸入摂取する場合を想定する。
C1.通常
<埋設処分>
C1.1    汚染された地下水の経口摂取による内部被ばく
C1.2    処分場周辺住民のダストの吸入摂取による内部被ばく
<焼却処分>
C1.3    焼却で発生するガス(ダスト)の吸入摂取による内部被ばく
<埋設処分>
C1.4    処分場作業者のダストの吸入摂取による内部被ばく
C1.5    処分場作業者の汚染した土の経口摂取による内部被ばく
C2. 事故
<焼却処分>
C2.1    焼却場作業者の汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
C2.2    焼却場作業者の塗料の経口摂取による内部被ばく
2. 線量評価
   上記で設定した被ばく経路について、それぞれ成人を対象として(預託)実効線量当量を評価する。
   なお、トリチウムの場合、実効線量(ICRP1990年勧告ベース)と実効線量当量とでは約10%実効線量の方が高いだけである。また、時計に内蔵されている放射能は、ISO3157で許容されている1個あたりの最大放射能であるとする。

A.使用

A1.通常時
A1.1
  時計着用時のトリチウムの取込みによる披ばく
      [参考:NCRP Report96(1987)]
<計算条件>
NCRPReport95のトリチウム夜光時計着用者に関する線量換算係数:
   時計に内蔵された放射能1MBqあたり0.008μSv/yを用いて着用時の年線量を評価する。この線量換算係数はUNSCEARでも使用されている。
(この線量換算係数は、時計着用者の尿中トリチウム濃度測定結果から評価された値である。)

<結果>

種頼 内蔵放射能
(MBq)
年実効線量当量
(μSv/y)
着用型 277 2.2
非着用型 370 3.0
特殊型 925 7.4

 

A1.2時計着用者の制動放射能による外部被ばく(皮膚及び眼の水晶体)
          [参考:Document of the NRPB Vo13,No.2(1992)]
[注] これを評価に含める場合、表面の線量当量率が2μSv/h、裏表面が0.2μSv/hを超えないことが前提となる。これはISO規格にない条件である。しかし、線量率基準は、NRPB及び米国10CFRpart30には含まれている。ただし、トリチウムの場合、エネルギーが低いため、実際の線量率測定が難しいことに留意する必要がある。
<計算条件>
@  着用型及び特殊型について評価する。非着用型については、制動放射線のエネルギーが低く、衣服で十分に減衰するため評価しない。(制動放射線の実効エネルギーは、8〜14keV程度)
A  年間を通じて全日数(365日)時計を着用しているとする。
B  時計を見る時間は、1日あたり10分、そのときの眼の水晶体との距離は0.5m
 (線量の計算上、表面線量率の規定値は実際の表面から2mmの位置での値とする。)
C  夜間の時計着用による表側の面と皮膚との接触時間は4h/night
D  ケース1:裏面の皮膚との接触による線量は無視する(NRPBはこれで評価)。
 (制動放射線はエネルギーが低いため、時計の厚みで十分遮へいされるとする。)
E  ケース2:裏面と皮膚との接触時間は年間の全時間(8760h/y)とする。

<結果>
  皮膚 眼の水晶体
ケース1 2.9mSv/y 1.9nv/y
ケース2 4.7mSv/y 1.9nv/y

 
 

A1.3時計がある部屋における汚染空気の吸入摂取による内部披ばく
  [参考:Document Of the NRPB Vol.3,No.2(1992)及びNCRP Report 95(1987)]
<計算条件>
@    時計1個あたりのトリチウムの漏洩率を24kBq/day(1kBq/h)とする。
A    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
B    部屋に存在する発光時計は2個
   ((社)日本時計協会「エコロジーのための時計の使用実態・意識調査結果」によると、夜光時計の一人あたりの所有数は、腕時計、掛け・置き時計、目覚まし時計を合わせて平均約3個である。世帯あたりを考えると10個程度」存在することも考えられる。しかし、全部がトリチウム夜光時計とは考えられないため2個と仮定する)
C    部屋の大きさは30m3)、換気率は1回/h
D    呼吸率は1.2m3/h
E    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
F    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。
G    部屋の吸入時間は4380h/yとする。
(この時間は以下の前提で求めた値:
   発光時計は寝室に75%、他の部屋に25%の割合で置かれているとする。
   寝室の滞在時間は2920h/y、他の部星は8760h/yとする。
したがって、2920×0.75+8760×0.25=4380
   これら部屋の存在割合及び潜在時間はMcdowell−Boyer等(ORNL/NUREG/TM−150,1978)が米国での集団線量評価に用いている仮定を採用。)

<結果>
  空気中濃度
(Bq/cm3
摂取量
(Bq/y)
預托実効線量当量
(μSv/y)
所有者 6.7×10-5 5.3×105 8.9

 
 

A2事故時
A2.1時計が壊れた場合の汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
<計算条件>
@    時計1個あたりのトリチウムの漏洩率を内臓量の5%/day(0.208%h)とする。
   (5%/dayはIAEA−SS13の漏洩テストの基準値*1)
A    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
B    壊れた発光時計は1個とする。
   (A1.3で2個と仮定したが、同時に2個壊れるとは考えられないため1個とした。)
C    部屋の大きさは30m3、換気率は1回
D    呼吸率は1.2m3/h
E    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
F    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。
G    吸入時間は100h
   (約5日間壊れたことに気づかず、気づいた後は修理に出す又は廃棄すると仮定)

<結果>
種類 空気中濃度
(Bq/cm3
摂取量
(MBq)
預託実効線量当量
(mSv)
着用型 1.9×10-2         3.5     5.9×10-2
非着用型 2.6×10-2         4.6     7.9×10-2
特殊用 6.4×10-2          l.2×101     2.0×10-1

 
 

A2.2時計が壊れた場合の塗料の経口摂取による内部被ばく
<計算条件>
@    壊れた発光時計は1個とする。
A    内臓量の1%が時計からこぼれ、その1%(内蔵量の0.01%)を摂取するとする。
B    トリチウムの化学形はトリチウム(HTO)
C    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)

<結果>
種類

摂取量
(MBq)

預託実効線量当量
(mSv)

着用型 2.8×10-2 4.7×10-4
非着用型 3.7×10-2 6.3×10-4
特殊用 9.3×10-2 l.6×10-3

 
 

A2.3火災発生によるガス(ダスト)吸入による内部被ばく
[参考:D.W.Buckley,etal;NUREG/CR-1775(1980)]
   時計を置いてある部屋で火災が発生し、居住者が待避するまでに気体状トリチウムを吸入摂取し、また、消防士が消火活動・現場検証時に気体状トリチウムを吸入摂取するとして線量を評価する。
<計算条件>
@    火災により放射能は全量放出されるとする。
A    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
B    部屋に存在する発光時計は2個とする。(Al.3と異なり、各々の型の場合について評価する。)
C    部屋の大きさは30m3とする。
D    居住者が待避するまで換気による濃度の減衰はないとする。
E    呼吸率は1.2m3/h
F    預托実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
G    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。
H    吸入時間は、居住者が待避するまでの時間:0.25h、消防士の消火活動等:8hとする。
   消防士については防護具の着用による補正係数0.1及び作業中の濃度減衰を考慮する補正係数0.01(計0.001)を適用する。(時間設定はNUREG/CR-1775の値である。一方、防護係数はNUREG/CR-1775では、8hの間の濃度減衰と防護服の防護係数を合わせて0.01としているが、換気による濃度減衰の点から過大評価過ぎると判断されるため、濃度減衰の補正係数をさらに1/10とし、濃度減衰と防護係数を合わせて0.001として評価した。)

<結果>
対象者 時計の種類 空気中濃度
(Bq/cm3)
摂取量
(MBq)
預託実効線量当量
(mSv)
居住者  着用型 1.8×101  8.3   1.4×10-1
 非着用型 2.5×101  1.1×101   1.9×10-1
 特殊型 6.2×101  2.8×101   4.7×10-1
消防士  着用型 1.9×101  2.7×10-1   4.5×10-3
 非着用型 2.5×101  3.6×10-1   6.0×10-3
 特殊型 6.2×101  8.9×10-1   1.5×10-3

 

*1 ISOの規定はこれと異なる。ISOでは、塗料(deposit)を水中に18〜25℃の範囲で24h置いたときに、50mgあたり3.7μBqを超えないことと定めている。

 

 

B.流通
 

B1.通常時
B1.1保管時の汚染空気の吸入摂取による内部被ばく               
   卸商及び小売業者の保管状態におけるトリチウム漏洩による線量を評価する。卸商の倉庫の大きさは小売業者に比べて広いが、保管個数が多いと仮定する。また、小売業者は、小規模店舗を想定し、特に保管部屋はかなり狭い場所を利用していると仮定する。
<計算条件>

@    時計1個あたりのトリチウムの漏洩率を24kBq/day (1kBq/h)とする。
A    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
B    倉庫又は保管部屋に平均的に存在する発行時計は、卸商10,000個、小売業者20個とする。
   <卸商>
   修理事業所(卸商を兼ねている)の夜光時計実態調査結果から、年間取扱量は3万〜4万個。
   一度に全部を1年間にわたって保管はしていないはず。そこで、卸商は卸すまで3ヶ月は倉庫にあるとして40,000/4=10,000個とする。
   <小売業者>
   小売業者の実態は不明であるため、S48放審議と同じ値として20個とする。
C    部屋の大きさは、卸商:300m3、小売業者:20m3とする。
D    換気率は1回/hとする。
E    呼吸率は1.2m3
F    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
G    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5培する。
H    吸入時間は、卸商、小売業者共に250h/yとする。
   (1日あたり1h保管部屋で作業するとし、週5日、年50週で250h/y)

<結果>
  空気中濃度
(Bq/cm3)
摂取量
(MBq/y)
預託実効線且当量
(μSv/y)
卸商 3.3×10-2   1.5×101 2.6×102
小売業者 1.0×10-3   4.5×10-1 7.7

 
 

B1.2時計との接触による被ばく
   卸商及び小売業者は時計を着用する時間は、あってもきわめて短い時間である。また、小売店で展示してある時計を装着する時間も、着用者に比べて線量が低いことが明らかである。このため線量の評飾はしない。

B1.3制動放射線による外部被ばく(皮膚及び眼の水晶体)
   卸商及び小売業者は時計を着用する時間は、あってもきわめて短い時間である。また、小売店で展示してある時計を試着する時間も、着用者に比べて線量が低いことが明らかである。このため、線量の評価はしない。
 

B2.事故時
B2.1 時計が壊れた場合の汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
<計算条件>

@    時計1個あたりのトリチウムの漏洩率を内蔵量の5%/dayとする。
A    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
B    倉庫又は保管部屋に存在する壊れた発光時計は、卸商50個、小売業者1個とする。
C    保管部屋の大きさは、卸商:300m3、小売業者:20m3とする。
D    換気率は1回/hとする。
E    呼吸率は1.2m3/h
F    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
G    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。
H    吸入時間は、卸商、小売業者共に40hとする。
   (8週間壊れたことに気づかず、1日あたり1h保管部屋にいるとする。)

<結果>
業 種 時計の種類 空気中濃度
(Bq/cm3)
摂取量
(MBq)
預托実効線量当量
(mSv)
卸商 着用型 9.6×10-2 6.9 1.2×10-1
非着用型 1.3×10-1 9.3 1.6×10-1
特殊型 3.2×10-1 2.3×101 3.9×10-1
小売業著 着用型 2.9×10-2 2.1 3.5×10-2
非着用型 3.9×10-2 2.8 4.7×10-2
特殊型 9.6×10-2 8.9 1.1×10-1

 
 

B2.2時計が壊れた場合の塗料の経口摂取による内部被ばく
<計算条件>
@    内蔵量の1%が時計からこぼれ、その1%(内蔵量の0.01%)を摂取するとする。
A    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
B    壊れた発光時計は、卸商50個、小売業者1個とする。
C    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)

<結果>

 

業 種 種類 摂取量
(MBq)
預托実効線量当量
(mSv)
卸商 着用型 1.4 2.4×10-2
非着用型 1.9 3.1×10-2
特殊型 4.6 7.9×10-2
小売業著 着用型 2.8×10 4.7×10-4
非着用型 3.7×10 6.3×10-4
特殊型 9.3×10 1.6×10-3

 
 

B2.3火災発生による汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
[参考:D.W.Buckley,et al;NUREG/CR-1775(1980)]
   卸商の倉庫又は小売業者の保管部屋で火災が発生し、卸商又は小売業者の従業員が待避するまでに気体状トリチウムを吸入績取し、また、消防士が消火活動・現場検証時に気体状トリチウムを吸入摂取するとして線量を評価する。
<計算条件>
@    火災により影響を受けた時計の放射能は全量放出されるとする。
A    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
B    倉庫又は保管部屋に存在する発光時計は、卸商10,000個、小売業者20個とする。
C    従業員が待避するまでに火災により影響を受ける個数を、卸売商は10個、小売業者は2個とする。
D    消防士が作業をしている時点で、卸商:1,000個、小売業者:20個が火災による影響を受けているとする。
E    部屋の大きさは、卸商:300m3、小売業者:20m3とする。
F    従業員が待避するまでに換気による濃度の減衰はないとする。
G    呼吸率は1.2m/h
H    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
I    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。
J    吸入時間は、卸商又は小売業者の従業員が待避するまでの時間:0.25h、消防士の消火活動等:8hとする。消防士については防護具の着用による補正係数0.1及び作業中の濃度減衰を考慮する補正係数0.01(計0.001)を適用する。

<結果>
業  種
(対象者)
時計の種類 空気中濃度
(Bq/cm3
摂取量
(MBq)
預托実効線土当量
(mSv)
卸商
 (従業員)
 着用型 9.2 4.2 7.1×10-2
 非着用型 1.2×101 5.6 9.4×10-2
 特殊型 3.1×101 1.4×101 2.4×10-1
卸商
 (消防士)
 着用型 9.2×102 1.3×101 2.3×10-1
 非着用型 1.2×103 1.8×101 3.0×10-1
 特殊型 3.1×103 4.4×101 7.5×10-1
小売業者
 (従業員)
 着用型 2.7 1.2 2.1×10-2
 非着用型 3.7 1.7 2.8×10-2
 特殊型 9.3 4.2 7.1×10-2
小売業者
 (消防士)
 着用型 2.7×101 4.0×10-1 6.8×10-3
 非着用型 8.7×101 6.3×10-1 9.0×10-3
 特殊型 9.8×101 1.3 2.3×10-3

 
 

B2.4 輸送中の事故による汚染空気の吸入摂取による内部被ばく
   屋外であること、作業時間を考えると、B2.1よりも低いことは明らかなので評価しない。

B2.5 輸送中の事故による塗料の経口摂取による内部被ばく
   輸送中の事故により、時計が壊れ、そこから塗料(放射能)がこぼれた場合の線量を評価する。
<計算条件>

@    輸送している時計の個数は2000個とする。
A    輸送中の事故により全体の1%が壊れ、壊れた時計から塗料が脱落して内蔵放射能の1%がこぼれ、その放射能の1%(輸送量の1×10-6)を摂取するとする。
B    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
C    預托実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)

<結果>
種 類 摂取量
(MBq)
預托実効線量当量
(mSv)
 着用型  5.5×10-1 9.4×10-3
 非着用型  7.4×10-1 1.3×10-3
 特殊型  1.9 3.1×10-2

 
 

C.廃 棄
[参考:Document of the NRPB Vol.3,No.2(1992)及びCEC Radiation Protection-65(1993)]
<全体共通の計算条件>
@    現在、国内には、約300,000個のトリチウム夜光時計があり、その内訳は、着用型が75%、非着用型が20%、特殊型が5%であるとする(1個平均328MBq x 300,000=98.4TBq)。
A    毎年、その10%が破棄されるとする。(破棄トリチウム量=9.84TBq)
B    破棄された時計は、2/3が500箇所の埋立処分場へ、残り1/3が200箇所の焼却処分場へ分配されるとする。(1つの埋立処分場へ13.1GBq、1つの焼却処分場へ16.4GBq)

 

 

C1:通常時
C1.1 汚染された地下水の経口摂取による内部被ばく (埋立処分場)
<計算条件>
   線量換算係数として、Document of the NRPB Vol.3,No.2(1992)が採用している、浅地処分場への1TBqのトリチウム破棄量あたり4.6nSv/yという評価値(NRPB R-205(1987)を用いる。この係数は、放射性廃棄物の浅地処分(素掘トレンチ)のモデルで計算された値である。そのモデル処分場では、年間処分量13,000m3で1TBqが均等に希釈されると仮定している。

<結果>
  埋設処分場に破棄される放射
(TBq)
預托実効線量当量
(μSv/y)
一般公衆 1.3×10-2 6.0×10-5

 
 

C1.2 処分場周辺住民のダストの吸入摂取による内部被ばく(埋立処分場)
   IAEA/BSS(SS-115)における規制免除レベル導出で用いられたシナリオよりも保守的なシナリオを適用した。これは、埋立処分場の汚染された土が、ダストとなって定常的に周辺住民の居住地域を汚染しているというシナリオである。
<計算条件>
@    1つの埋立処分場にあるトリチウム放射能は13.1GBq
A    トリチウムは時計周辺の100kg(=1×105g)の土で希釈されているとする。
   (この厳しい放射能濃度計算の仮定により、本来、年々蓄積される放射能濃度を安全側に評価することになる。)
B    周辺住民が吸入するダスト濃度を0.2mg/m3(屋外の平均的なダスト濃度)
C    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
D    呼吸率は1.2m3/h
E    預托実効線量当量への換算件数は1.7×10-11(Sv/Bq)
F    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。
G    吸入時間は年8760h/y(24h/day x 365day/y)とする。

<結果>
  空気中濃度
(Bq/cm3
摂取量
(MBq/y)
預託実効線量当量
(μSv/y)
一般公衆 2.6x10-5 4.1x10-1 7.0

 
 

C1.3 焼却で発生するガス(ダスト)の吸入摂取による内部被ばく(焼却処分場)
   このシナリオでは、高さ50mの煙突から定常的に放出される気体状トリチウムの最大濃度地点における被ばく線量を評価する。
<計算条件>
@    焼却処分される時計の放射能は16.4GBq/y、これが1年を通じて一定の率で放出される。
A    焼却処分により時計の全放射能が大気中に放出される。
B    スタックの高さは50m
C    大気安定度Dとする。これにより、最大濃度地点における単位放出放射能(1Bq/s)あたりの濃度は、3×10-6Bq/m3となる。
D    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
E    呼吸率は1.2m3/h
F    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
G    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。

<結果>

 
 

C1.4 処分場作業者のダストの吸入摂取による内部被ばく(埋立処分場)
  [参考:CEC Radiation Protection-65(1993)]
 埋立処分場において、一般の作業者がトリチウムで汚染されたダストを吸入するとして線量を評価する。
<計算条件>
@    1つの埋立処分場にあるトリチウム放射能は13.1GBq
A    トリチウムは時計周辺の100kg(=1×105g)の土で希釈されているとする。
   (この厳しい放射能濃度計算の仮定により、本来、年々蓄積される放射能濃度を安全側に評価することになる。)
B    処分場におけるダスト濃度が1mg/m3であるとする。
C    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
D    呼吸率は1.2m3/h
E    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
F    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。
G    処分場での吸入時間は2000h/yとする。

<結果>
  空気中濃度
(Bq/cm3
摂取量
(MBq/y)
預託実効線量当量
(μSv/y)
一般公衆 1.3x10-4 4.7x10-1 8.0

 
 

C1.5 処分場における汚染した土の経口摂取による内部被ばく(埋立処分場)
  [参考:CEC Radiation Protection-65(1993)]
  埋立処分場において、一般の作業者がトリチウムで汚染された土を経口摂取するとして線量を評価する。
<計算条件>
@    1つの埋立処分場にあるトリチウム放射能は13.1GBq
A    トリチウムは時計周辺の100kg(=1×105g)の土で希釈されている。
B    この土を1g/y摂取するとする。 (1g/yは園芸等の土を扱う場合に摂取してしまう典型的な量の半分)
C    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
D    預托実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)

<結果>
  摂取量
(MBq/y)
預託実効線量当量
(μSv/y)
埋設場作業者 0.13 2.2

 
 

C2.事故
C2.1 焼却場作業者の汚染空気の吸入摂取による内部被ばく(焼却処分場)
   焼却場に持ち込まれた時計からトリチウムが漏洩して空気を汚染し、これを吸入摂取した場合の線量を評価する。これは、時計がしばらく放置された状況を想定している。
<計算条件>
@    焼却処分される時計の放射能は16.4GBq/y、これが一度に持ち込まれたとする。
A    トリチウムの漏洩率を内蔵量の5%/dayとする。
   (5%/dayはIAEA-SS13の漏洩テストの基準値)
B    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
C    部屋の大きさは1,000m3とする。
D    換気率は1回/hとする。
E    呼吸率は1.2m3/h
F    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)
G    皮膚からの吸収を考慮して上記の係数を1.5倍する。
H    吸入時間は80hとする。
   (この数値の考え方:4週間気づかずに労働時間の半分を過ごすとする。)

<結果>
  空気中濃度
(Bq/cm3
摂取量
(MBq/y)
預託実効線量当量
(mSv)
焼却場作業者 3.4x10-2 4.9 8.4x10-2

 
 

C2.2 焼却場作業者の塗料の経口摂取による内部被ばく(焼却処分場)
   焼却場に持ち込まれた時計からトリチウムを含んだ塗料がこぼれ、これを経口摂取した場合の線量を評価する。これは、上記と同様、時計がしばらく放置された状況を想定している。
<計算条件>
@    焼却処分される時計の放射能は16.4GBq/y、これが一度に持ち込まれたとする。
A    持ち込まれた全放射能の1%が時計からこぼれ、その1%(全放射能の0.01%)を持取するとする。
B    トリチウムの化学形はトリチウム水(HTO)
C    預託実効線量当量への換算係数は1.7×10-11(Sv/Bq)

<結果>
  摂取量
(MBq/y)
預託実効線量当量
(mSv)
焼却場作業者 1.6 2.8x10-2

 

 
 

 

 

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