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令和6年度(春期)放射線安全管理研修会Q&A(講演者からの文書回答) |
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エックス線取扱いのガイドラインは作成されているのでしょうか。
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工業用のエックス線装置については、現在そのようなガイドラインは存在しないところ。「エックス線装置に係る放射線障害防止対策に関する検討会 報告書」においては、国は「エックス線装置を取り扱う事業者・労働者の安全意識を高めるためにも、業界別のガイドラインの策定や、業界団体が実施する教育・研修の活用等の関係者の継続的な能力向上の取組が進むよう、啓発を行うべきである。」とされており、各業界においてガイドライン策定の取組等が進むよう、周知啓発を行ってまいりたい。
- 「線量限度の精緻化」は[線量評価の精緻化」の聞き間違いかと思います。医療では毎日のように行われいる放射線診療データからより患者個人に応じた線量評価の動きがあります。この問題を紹介しました。
- 一般に実施されている環境保護の取り組みを放射線の環境防護にいかに適用するかが議論されています。日本においても今後、環境防護のあり方から議論をしていく必要があるでしょう。
回答者:平地先生
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医療ではなく研究・教育で大学のエックス線発生装置を管理している部門からです。ボックス型の発生装置に関しては少し緩くなったイメージです。漏洩チェックを半年に1回を本学では課していますが、休止中の機器も実施した方が良いとは思うのですが、法令的には特にないかどうかを事務部として確認したいとのことです。如何でしょうか?それから自作のエックス線発生装置を管理区域に入れるべきかの判断基準を教えてください。 |
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@ 法令上、休止中のエックス線装置について、漏洩チェックなどは課していません。
A 自作のエックス線装置については、装置の内部にのみ管理区域が発生するような装置(いわゆるボックス型の装置)である場合 は、放射線装置室に入れずとも構いません。その判断基準については、平成13年3月30日付け基発第253号の第3 3 (6) ア〜ウをご参 照ください。
(参考:平成13年3月30日付け基発第253号の第3 3 (6))
ア エックス線照射ボックス付きエックス線装置であって、外側での実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えないように遮へいされた照射ボックスの扉が閉じられた状態でなければエックス線が照射されないようなインターロックを有し、当該インターロックを労働者が容易に解除することができないような構造のもの
イ 空港の手荷物検査装置であって、手荷物の出入口は、労働者の手指等が装置内に入ることがないように2重の含鉛防護カーテンで仕切られ、当該装置の外側での実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えないように遮へいされているもの
ウ 工場の製造工程で使用されている計測装置等で、製品等の出入口は、労働者の手指等が装置内に入ることがないように2重の含鉛防護カーテンで仕切られ、又は労働者の手指等が装置の内部に入った場合に放射線の照射が停止するインターロックを有し、かつ当該インターロックを労働者が容易に解除することができないような構造であり、装置の外側での実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えないように遮へいされているもの
回答者:平地先生
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今回の新規の規制対象は工業用等、ということですが医療用以外、と言うことで研究用、教育用も対象として含まれると言うことでしょうか? また、電離則に於いてはエックス線装置そのものの定義がされておりません(特定エックス線装置は定義されています)。クルックス管やガイスラー管などの真空放電管やブラウン管などの位置づけを含めて検討されていますでしょうか。。 |
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@ 研究用、教育用は工業用等の「等」の中に含まれます。ただし、臨床研究や医療従事者の養成など、医師等の管理下で行われる研究や教育の場合は、医療用としての適用を受けます。
A エックス線装置については電離則上は、「エックス線を発生させる装置で、令別表第二第二号の装置(※粒子加速器)以外のものをいう。」と定義されており、従来からの解釈としては、エックス線を利用するために意図的にエックス線を発生させる装置(粒子加速器は除く)を、エックス線装置としています。そのため、副次的にエックス線を生じる装置(電子顕微鏡やブラウン管テレビなど)は、電離則上のエックス線装置として取り扱っていないところです。真空放電管についても、それによって発生するエックス線を利用する目的かどうかによって、電離則上のエックス線装置(またはエックス線管)に当たるかどうかが決まってきます。一方で、ケノトロン(超高圧整流用の熱陰極二極真空管)の真空度を保つために通電過熱する「ガス抜き」については、エックス線の発生を目的にはしていませんが、別途規制の対象としています。
回答者:平地先生
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ボックス型装置については自動警報装置及びインターロックの設置義務が無いという説明だったかと思いますが、研究で使用されるボックス型エックス線分析装置は試料設置の際に機器内部に手などを入れることがあるかと思います。これらの装置について自動警報装置及びインターロックの設置義務は発生しますでしょうか。
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ボックス型エックス線装置については現行(令和7年3月時点)の電離則においては、放射線装置室内で使用しないため、自動警報装置の設置義務はかかっていません(電離則第17条)。また、現行の電離則において、エックス線装置にはインターロックの設置義務はありませんが、インターロック機構を有することがボックス型装置として見なされる要件の一つとなっています(平成13年3月30日付け基発第253号の第3 3 (6) ア・ウ)。また、今後の電離則の改正においては、インターロックを無効化して装置内の管理区域に体の一部または全部を入れる場合については、予め代わりの防護措置も含めて作業手順を定め、エックス線作業主任者の管理下でその手順に沿って作業を行うなど、確実に安全な作業を実施していただくための改正を検討しています。
回答者:平地先生
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電離則は、大学の学生は対象とならないのでしょうか?
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安衛法・電離則は、労働者を対象としていますので、雇用関係にない方は対象となりません。ただし、大学生等の場合、ティーチングアシスタント(TA)のように雇用関係がある場合は対象となり得ます。
回答者:平地先生
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原装置への電源供給の周知と自動警報装置は別で用意する必要があるのか?表示灯でいいのか?
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電源供給の周知のために自動点灯する表示灯は、自動警報装置に当たります。ただしその場合、当該表示灯は、関係者が知覚しやすい状態であることが必要です。例えば何か置かれた物で隠れているなど、表示灯が見えない状態になっていたり、非常に見えづらい場所にあったり、色や明るさ的に見えづらい状態では、関係者への周知の義務を果たしているとは言えません。
回答者:平地先生
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特別教育の拡大が図られるようですが、教育内容についてどのように変更されますでしょうか。
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特別教育の科目については、変更は予定していません。既に特別教育の対象となっている透過写真撮影装置については従前通りで、新たに拡大されるそれ以外のエックス線装置・ガンマ線照射装置についても、「作業の方法」「当該使用する装置の構造及び取扱の方法」「放射線の生体影響」「関係法令」の4つが対象になります。
回答者:平地先生
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安全衛生の国際的な会議でこうした事故事例等の議論はあるか。また予防に関する国際的な統一対策などは考えられるか。
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エックス線装置の事故事例に関しては、INESに報告される場合もありますが、国際的な会議の場での議論はまだあまり行われていないと思います。工業用エックス線装置に係る国際的な安全基準についても、まだ作成されていません。なお、令和7年度に労災疾病臨床研究補助金事業として「諸外国における工業用等エックス線装置の使用環境に関する調査研究」を実施する見込みです。
回答者:平地先生
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医師・医学部の学生への教育での使用やAi(オートプシーイメージ)は対象外ということでしょうか?
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学生については電離則の対象外ですが、労働者(教員等)として教育を行う側は対象になり得ます。なお、医師・医学部の学生への教育での使用の場合は、医療用エックス線装置の規制が課されます。
回答者:平地先生
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日本以外のX線発生装置の規制はどのようになっているのか?
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令和7年度に労災疾病臨床研究補助金事業として「諸外国における工業用等エックス線装置の使用環境に関する調査研究」を実施し、調査いただく見込みです。
回答者:平地先生
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電離則の法令改正の時期はいつごろか?
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改正時期については令和7年度の前半を予定しておりますが、詳しい日程は未定です。医療における放射線の利用の進展に伴い、被ばく歴の管理は重要になってくると思われます。
回答者:平地先生
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X線装置を取り扱っている事業所では小規模な事業所も多いと思われる。使用者が管理者を兼ねているところも多いのではないか。そのようなところはどのような対処をしているのか?
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エックス線装置を使用する者が1人だけの場合でも、エックス線作業主任者の選任が必要であるため、その方がエックス線作業主任者を兼ねていただくことになります。
回答者:平地先生
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39のスライドで被ばくの爆になって赤字枠だったが、これで良いのでしょうか?
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気づいていただきありがとうございます。事故を踏まえた対応がなされた資料でも、このような誤りが観察されます。この例では放射線の関係者が関係していないことが想像されます。放射線関係者がより貢献すべきことを示しているのではないでしょうか。 同様の例は14ページの「放射線医薬品」でも示されています(本来は、「放射性医薬品」)。このようにミスを完全になくすことは困難な面もあるところだと思います。
回答者:山口先生
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薬剤師の役割について、説明がありましたが、職業別の被ばく統計に薬剤師が入っていなかったが、なぜか。
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核医学で薬剤師の役割は重要であり、サイクロトロンを用いている施設では、様々な対応により薬剤師の局所的な放射線曝露が増えていることが懸念されます(不均等被ばくのモニタリングが重要)。分類上分けていないのは、測定対象者が多くないことが反映されていると推測されますが、適切にモニタリングを行い、分類上も明示されるとよいのではないでしょうか。現状は、個線協各社が持つ分類の共通項のみを取り出しているため、「医師」、「診療放射線技師」、「看護師」、「その他」で集計しているそうです。
回答者:山口先生
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被ばく線量の年間データで長瀬ランダウアと千代田テクノルのデータはほぼ一致しているのか(実効線量と等価線量)?
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2023年度の一般医療(長瀬ランダウア社では歯科は含んでいない)での実効線量は、長瀬ランダウア社では20 mSvを超える割合が5e-4で、50mSvを超える割合が5e-5であるのに対して、千代田テクノルでは、20 mSvを超える割合が1e-4、50mSvを超える割合が0と差異があります。眼の水晶体の等価線量は20 mSvを超える割合が、長瀬ランダウア社では0.18%で千代田テクノル社は0.15%です。皮膚の等価線量は100 mSvを超える割合が、長瀬ランダウア社では1.5e-4で千代田テクノル社は1.6e-4です。
回答者:山口先生
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眼の水晶体の被ばくの危険が高い医術に携わる方専用の線量計の装着は法令的義務化される方向にはならないのでしょうか?
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既に義務化されているのではないでしょうか。
電離則 (線量の測定)
第八条 事業者は、放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者及び管理区域に一時的に立ち入る労働者の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない。
3 第一項の規定による外部被ばくによる線量の測定は、次の各号に掲げる部位に放射線測定器を装着させて行わなければならない。ただし、放射線測定器を用いてこれを測定することが著しく困難な場合には、放射線測定器によつて測定した線量当量率を用いて算出し、これが著しく困難な場合には、計算によつてその値を求めることができる。
一 男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあつては胸部、その他の女性にあつては腹部
二 頭・頸けい部、胸・上腕部及び腹・大腿たい部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位(これらの部位のうち最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあつては胸部・上腕部、その他の女性にあつては腹・大腿たい部である場合を除く。)
三 最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頸けい部、胸・上腕部及び腹・大腿たい部以外の部位であるときは、当該最も多く放射線にさらされるおそれのある部位(中性子線の場合を除く。)
もしかして、現行の「頭・頸けい部、胸・上腕部及び腹・大腿たい部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位」に対して、線量限度との比が最大になる部位でのモニタリングとしての課題の提示だったのでしょうか?
そうであれば、考えられる方向性ではあると思いました。研修会での参加者からの提案として何かに反映させてはどうかと思いました。
研修会では防護眼鏡装着との関係のご質問との補足をいただきましたが、それとモニタリングは直接的にはリンクしないと思います。
回答者:山口先生
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講演ありがとうございました。表示付認証機器(校正用線源57CO)の保管容器に「放射性」「Radioactive]の表示を付することといわれましたが、これは法令事項ですか。容器に付するのなら放射性同位元素の核種、数量を付する方が良いのではないかと思いますが、如何でしょう。
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放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則の第14条3第2項(2)では、当該放射性同位元素装備機器は、貯蔵室若しくは貯蔵箱において又は「放射性」若しくは「Radioactive」の表示を有する専用の容器に入れて保管すること、となっています。よって、当該放射性同位元素装備機器を貯蔵室若しくは貯蔵箱以外で保管する場合は法令条件となります。もちろん、核種と放射能を付記しても構いませんが、当該放射性同位元素装備機器は設計認証の条件に従って使用、運搬、保管すれば安全性が担保されている線源です。
回答者:加藤先生
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施設の排水排気管理につきまして、日常点検では配管の破断等は発見しにくいかと思われます。専門業者による漏洩確認を定期的に行うべきとの解釈でよろしいでしょうか?
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目視では発見が困難な排水設備の破損等の確認のために、専門業者による定期的な検査を実施することは望ましいと言えます。ただ、経費等を考量すると、まずは一次スクリーニングとして、各事業所で貯留槽に水を満たし、例えば24時間後の水位に変化がないことを確認するなどの検査を行い、問題があれば詳細な点検を業者に依頼するのも一つの方法と考えます。
回答者:加藤先生
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