Q & A

 
 

1.

購入した非密封放射性同位元素を法令で定める放射性同位元素に該当しない量に希釈して使用するときには、放射性同位元素として管理しなくて良いのですか。

     

放射性同位元素として購入した場合、それが希釈等により法定外の量、濃度になったとしても放射性同位元素として管理する必要があります。

 

2.

年度途中で放射性同位元素の使用を廃止した時にも放射線管理状況報告書を提出する必要があるのですか。

     

年度途中で廃止した場合は放射線管理状況報告書を提出する必要はありません。

 

3.

許可事業所であるユーザーの事業所において、RI装備機器の修理を行う際に、その業務にあたるものについて放射線障害防止法上考慮すべきことは?

     

まず、修理をおこなうものは、使用、販売等の許可事業所の放射線業務従事者として登録されていることが必要であり、法令で定められた教育訓練、健康診断等を受けていることが前提になります。また、ユーザー事業所でそれらの内容について確認を行い、放射線業務従事者として登録された後に、少なくとも、その事業所の予防規定については、法令で定められた時間教育を受けた後に、修理作業を行うこととなります。

 

4.

非密封RIを取り扱う事業所の排水設備に関して、集合槽がピットタイプであり、その蓋が開く場合には、その周囲を管理区域として設定する事が必要でしょうか。

     

蓋が開くことにより、RIによって汚染された排水に直接接触することが可能なタイプの集合槽においては、管理区域の設定が必要になります。
 また、申請に際しては、その点に留意し、平面図においては、蓋の開閉の有無及び管理区域を設定する必要がある場合にはその旨明記して下さい。

 

5.

作業室の1日最大使用数量を超えており、かつ貯蔵施設の貯蔵能力の範囲内で、ある非密封RIバイアルを購入した場合、そのバイアルから1日最大使用数量のRIを使用することができますか?

     

容器の開封を伴う非密封放射性同位元素の小分け作業は「使用にあたりますので、一日の最大使用数量を超える数量からの小分け作業は行えません。
  また、小分け作業を行う場合には、不慮の事故を防ぐためにも、事前に作業の安全評価を行うとともに、作業を行う際には排気装置のある安全キャビネット内においてろ紙を敷いたバット上で行う等、作業場所の汚染防止対策並びに作業者の被ばく防止措置を講じて下さい。

 

6.

ガスクロマトグラフを数台使用していますが、このうち−台を廃棄する場合、廃止届けを提出すればよろしいのでしょうか。

     

廃止届けは許可を取り消す際に提出する届出です。許可使用者であれば、軽微変更届、届出使用者であれば、第3条の2第2項の規定に基づく届出を提出して下さい。ただし、ガスクロマトグラフ用ECDを廃秦し、放射線施設を廃止する場合、廃止に伴う措置の報告書を併せて提出する必要があります。

 

7.

今後、申請・届出等を代表者ではなく、事業所長から提出したいと思っていますが、その際に委任状は添付する必要があるのでしょうか。

     

原則的には、申請・届出等は代表者から提出することになっています。しかし、必要に応じて事業所長からの申請も受け付けています。この場合、申請・届出等の提出の都度、委任状を添付してもらうことになります。

 

8.

使用許可申請・変更許可申請を提出してから許可が下りるまでどれくらいの期間を予定しておけば良いのでしょうか。

     

通常の申請であれば約3ヶ月程度予定しておいて下さい。

 

9.

使用の廃止をしたいと思っていますが、どのような手続きをすればよいのでしょうか。

     

使用を廃止する場合、廃止届と廃止に伴う措置の報告の提出が必要になります。廃止に伴う措置の報告については、線源の引取先の証明書、引取後の汚染状況報告書放射線業務従事者の健康診断結果及び被ばく線量の記録の引き渡し等を証明する文書を添付する必要があります。

 

10.

放射線取扱主任者はどのような場合、選任する必要があるのか。

     

原則、使用者は放射線取扱主任者を選任する必要があります。但し、表示付放射性同位元素装備機器のみを使用しているものに付いては、特に選任する必要はありません

 

11.

現在、許可された貯蔵室内に非密封RIを保管していますが、この貯蔵室内に、新たに家庭用冷蔵庫を設置し、その中にRIを保管することとしたいと思っています。このような場合、変更許可申請が必要になるのでしょうか。

     

家庭用冷蔵庫の設置によって既に許可された貯蔵室自体の遮へい能力に変更が生じず、貯蔵室内の保管数量が変更しない場合には、変更許可にはあたりません。

 

12.

非密封RI使用施設において、管理区域内の一般排水管(非RI排水管)のルートを変更するような場合、変更許可申請が必要か。

     

一般配水管は放射線障害防止法上の破棄施設ではないので、その変更は、変更許可にはなりません。

 

13.

管理区域の出入口又はその付近に付ける標識の種類について、具体的に教えて下さい。

     

@    管理区域内に作業室、貯蔵室若しくは貯蔵箱のみの設置保管破棄設備を備えている場合は、管理区域(使用施設、貯蔵施設、破棄施設)の3種類の標識が必要になります。管理区域境界にも同様の標識を付ける必要があります。
A  密封された放射性同位元素又は放射線発生装置を使用する部屋のみの場合では、管理区域(使用施設)の他、当該使用にあたる放射性同位元素使用室又は放射線発生装置使用室の標識が必要です。
B  表示付放射性同位元素装備機器を設置した部屋の出入口には表示付放射性同位元素装備機器使用室の標識を付ける必要があります。

 

14.

コバルト−60の密封線源の密度計を5台工程ラインに設置して5年経過した許可使用者ですが、このうち1台の装置を輸入品に更新のためこの線源を廃棄業者に引取り(譲渡)を依頼することにしたのですが、所定の書類には現在の数量を記入するのか、購入時の数量を記入すればよいのか、また、このような場合の注意点をご教示下さい。

     

放射線同位元素等使用許可証の使用数量等(密封された放射性同位元素)の欄に記載された数量を記入することです。
    廃棄業者である日本アイソトープ協会にて密封線源を引き取る場合には、その密封線源の半減期補正をした数量も記入する必要があります。通常は、廃棄(譲渡)しようとする密度計の密封線源の数量検定書(検定年月日、検定事業所、検定結果数量等掲載)を添付して現在の半減期による補正値を正しく算出した(小数点以下は切り上げてもよいが、少量の線源の場合は2桁ぐらいまで記入する。)数値も記載します。この半減期による減衰を計算しないで提出しても、日本アイソトープ協会から送られてくる受領書には減衰計算した数値をも記入してあります。したがって最も重要なことは、検定書が決め手となりますので購入時(入手時)には使用許可申請書に記載されている種類・数量と一致している検定書となっているか確認しておくこと(発注時の数量)です。また、法令に基づく記帳・記録には、購入時(入手時)の数量(これを公称値と称し減衰補正していない数値)を記入することとしています。購入時(入手時)の数量は密封された放射性同位元素の場合、使用許可証の数値と一致していなければなりませんので、ご注意下さい。
   なお、外国から輸入したもので検定書を無くしたとか紛失してしまった場合、その販売業者などを通じて製造元などに保存されているその線源の出荷時の検定書のコピーを取り寄せるなどしてみる必要があるでしょう。できうれば自主点検時にそれぞれの密封線源装備機器ごとの検定書の存在確認をしておくことが必要でしょう。密封線源の受け渡しには、検定書の数量の確認をして一致していることと半減期の補正、密封線源を渡したら、その受領書があることが重要です。

 

15.

放射線作業に従事する者(管理区域に立ち入る者)に対する定期健康診断(特殊健康診断)は、ICRP1990年勧告の法令取り入れ後は、どのように変わるのでしょうか。
     

平成12年3月に放射線審議会から行政省庁からの諮問に対する回答として、その審議結果が一般公開されております。また、平成12年10月23日付けにて放射線障害防止法施行規則、同告示の改正と同時に科学技術庁原子力安全局放射線安全課長通知がありました。その内容は、おおよそ次のとおりです。
1.実施時期について

放射線審議会の答申では、「配置前(管理区域立入り前又は、放射線作業従事者として従事する前)に1回と、それ以降は年に1回以上実施することが適当である。」としています。改正後も改正前と同じく、1年を超えない期間ごとに行うこととなっております。したがって、年1回は最低の基準であるため、作業内容等の違いや、健康診断項目によっては、年2回以上でもよいとしています。

2.問診について

健康診断の省略規定を法令改正にて削除されたので、健康診断のうち問診については全員に対し、毎年行うこととなりました。(放射線審議会の答申及び法令でも、被ばく歴の調査だけではなく、被ばく歴の評価等を行うことを目的としております。この点は従来と変りません。)

3.健康診断の実施項目について

放射線安全課長の通知には、「健康診断のうち検査又は検診については、旧法令においては、血液検査の一部は初めて管理区域に立ち入る前及び管理区域に立ち入った後の健康診断において必ず実施することとしていたが、改正法令においては、上記(1)@(末しょう血液中の血色素量又はヘマトクリット値、赤血球数、白血球数及び白血球百分率)及びA(皮膚)については、初めて管理区域に立ち入る前の健康診断では必ず行い、管理区域に立ち入った後の健康診断ではこれを医師が必要と認める場合に限り行うこととし、(1)B(眼)については全ての健康診断において医師が必要と認める場合に限り行うこととする。」とあります。したがって、健康診断は初めて管理区域に立ち入る前には必ず実施することになり、立ち入った後には規定されている全ての検査項目を実施するとしているが、問診を除き、医師が必要と認めたもの以外は実施しなくてもよいこととなります。放射線障害の防止という観点から、医学上の知見等や、医師の判断によるところなど従来とあまり変わっておりません。

 

16.

排気口のH-3等の平均濃度基準値確認の指摘指導はなぜあるか? 。

非密封RI使用施設にて、排気設備内の排気モニター等で、H-3等の排気口における空気中のRI濃度測定をしていますが、国の立入検査で「排気口における空気中汚染濃度測定記録として、この測定用モニターの測定値のみでは、測定条件等からみてH-3等の検出がほとんどないので計測不十分ではないか。また、このような場合、測定することが著しく困難とみうけられるので、この施設における使用核種・数量の実績記録に基づく計算値によりその旨記録して、法令上の排気口における空気中の平均濃度基準値を越えていないことを確認すること」と指導を受けたがなぜか。

     

測定器での測定及びその実績値に基づく計算による評価・確認をすること。

バックグランドに近いH-3等の空気中濃度の数値を誤差を少なくして定量値を得るには、実際には測定困難(通常の連続モニターによる安全管理上では核種が固定できない。)でしょう。このような場合、計算により排気口の空気汚染濃度を算出することです。また、誤って大量放出があった場合には測定器で検知することができますので、このような時を考えると測定器による測定も必要です。この場合、計算に基づく濃度限度以下の評価・確認がなかったことになるので指導があったのです。なお、通常の排気口の空気中RI濃度の算定式としては、下記のとおり。

 右項の各数値は実際に則した値を用いて計算することになります。1週間又は3ヶ月間の平均値を求める場合には、その記録をする日から数えて1週間又は3ヶ月間前までの積算値となります。RI使用量は、核種別、群別の半減期補正の有無などの確認をした数値を用いることとなります。飛散率は、固体、液体、気体などの物理的、化学的状態によって違いがあり、1/1000、1/100、1/10、1/1などの単位が使われています。フィルター透過率は、気体、粒子、塵埃等による違いがあり1/100、1/10、1/1などの単位が使われています。排気空気量についてはQ&Aの18.を参照して下さい。

 ご参考までに、RIの使用後のRI保管量、固体廃棄物混入RI量、排水・排気への混入RI量、施設設備等への付着等汚染RI量の累計が使用前RI量(半減期補正後)と等しいことが原則ですので、その点のご配慮もしておくことです。

1日(1週又は3ヶ月)間の = 1日(1週又は3ヶ月)間使用数量×飛散率×フィルター透過率

平均空気中濃度     排気口の1日(1週又は3ヶ月)間の排気空気量
 

 

17.

使用数量等を示す実績記録のみで排気の記録ができないか?

許可されている使用数量(核種別1日最大、群別1日最大、群別1週間最大、3ヶ月間)を越えていないことを示す使用実績記録があれば、排気口における空気汚染濃度限度の基準値を越えないはずだから、基準値以下との記録で良いではないか。

     

排気設備の設計値を実測により実証・確認すること。

 核種別等の使用数量が、許可された数量以下であったとしても、使用施設における排気設備の設計をした時の排気空気量が計算値どおりになっていることを、実測により確認しなければなりません。また、排気設備の実運転時間により排気量も変わります。使用中(設備の耐用期間中)の使用目的・使用方法にて想定されるいかなる取扱い状態においても設計値以下とならないように性能が、維持・管理されていなければ、濃度限度以下に守られていることになりません。そのために、実測値をもって証明・確認することが必要です。

 

18.

使用許可数量と使用前性能検査時の排気空気量での排気濃度計算でよいか?

施設完成後の性能検査結果時の排気口における1日当りの平均排気空気量(m3)が、許認可申請時の排気空気量の20%増しであった。この性能検査時の排気空気量を用いて、許可された使用数量の数値を使った濃度限度の計算値で、排気の記録を作成してもよいか。

     

使用中は常にRI使用量の確認と排気空気量の測定をすること。


 使用予定期間中には、排気設備の異常等の現場実態の変動があります。したがって排気中は、排気空気量の測定をする必要があります。使用数量は、Q16.のとおりです。

 使用前に設計値を上回る性能があったとしても、劣化してくることも想定できますので、排気中の排気空気量測定は、常に必要です。

 RIの取扱い現場及び排気設備の状態等を考慮しますと、フード内でのRIの小分け・調合等の際の空気汚染状態(飛散率の精度)、室内扉・フード内外器材・排気管・フィルター目詰まり等の空気抵抗の変化による排気空気量の変化などの定量化が、なかなか困難ですが創意工夫して、常に排気空気量測定を実施して下さい。

 国は、そのつどの排気空気量を確認し、放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成12年科学技術庁告示第5号)別表1又は別表2で定める排気中の濃度限度が遵守されていることを確認するように指導されています。

 放射線取扱主任者等の方々は、適切な測定条件等により測定が実施されていることの説明を、立入検査時にすることと、また、事前に評価証明(立証するための測定マニュアル類の完備、記録の特記事項等に記入するなど)しておくことが肝要ではないかと考えます。

 
 


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